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Bookpostオンライン読書ログ

2019年02月

山本正行「カード決済業務のすべて」(金融財政事情研究会, 2012) 166bfcb | 1日前

バートランド・ラッセル「バートランド・ラッセル著作集11 - 西洋哲学史1」(みすず書房, 1969) 166bfcb | 3日前

この本はとても面白かった。歴史的な事実を交えて、それぞれの哲学の持っている意味を解き明かしてくという本。文体は明瞭で、内容も非常にわかりやすく書かれているので、楽しく読めた。哲学の本でここまで明解に書けるのは本当にすごいと思う。

この本は3巻本の1冊目で、タレスからヘラクレイトス、デモクリトスを経て、ソクラテスとその後継者たちまで収録されている。多くのページはプラトンとアリストテレスの分析にあてられているのだけど、個人的にはソクラテス以前の哲学者の分析が面白かった。彼らの主張は、現代の私たちからすると単なる根拠レスな思いつきにも思えるのだけど、ラッセルは彼らの哲学的な努力を高く評価している:

> これまで考察したすべての哲学者たちは、世界を理解しようとする私欲のない努力をしていたのであり、彼らはそれを理解することが、実際そうであるより容易だと考えていた。しかしそのような楽観的態度がなければ、彼らは努力を始める勇気を持たなかったことであろう (p147)

F. J. ラブリュイエール, R. M. ヘルピ「消費者クレジットの世界史」(金融財政事情研究会, 1997) 166bfcb | 3日前

木村衣有子「手紙手帖」(祥伝社, 2005) 166bfcb | 3日前

E. M. ルイス「クレジット・スコアリング入門」(金融財政事情研究会, 1997) 166bfcb | 10日前

クレジットカードの信用スコアの作り方を解説しためずらしい本。著者はFICOスコアのFair, Isaac and Companyに勤めていた人。

・融資は三つのC (性格 - Character, 能力 - Capacity, 担保 - Collateral) で決まるというのは神話だ。与信決定の際に手元にあるのは一定の形式に従った書類だけなので、そこから借り手の性格や能力を推し量ることは難しい。担保については、個人向けの融資だとそもそも無いことが多い。また、「信用力」という単語はよく使われるが、実は明確に定義するのが難しい。まったく同じ意味で使う人がいないため、多くの混乱が生じており、誰もが「自分は良好な信用力がある」と思っている。

・統計ベースのクレジットスコアリングが発明されたのは、クレジットカードの普及により、大量の信用判断をこなす必要が生じたからだった。かつては人間のアナリストが判断していたが、人によって判断基準がマチマチで、また信用リスクの定量化が不可能だった。しかし、クレジットスコアリングは当初はそれほど熱心に受け入れられなかった。最初に推進したのが、数学のバックグラウンドを持つような科学者タイプの人達で、クレジット分野の人々は統計的手法の有用性を疑っていたからだ。

・クレジットスコアリングの核心は、書類に記載された様々な属性情報から、よい口座/不良口座となるオッズを推し量ることだ。これはよい口座と不良口座を1000-1500件ずつ抽出したものに多変量解析を施すことで推定する。この推定結果は、多くの場合、属性ごとに得点を記したスコアリング表という形で運用されている。

2019年01月

セネカ「人生の短さについて」(光文社, 2017) 166bfcb | 21日前

ポール・ミュオロ, マシュー・パディラ「実録サブプライム危機」(日本評論社, 2009) 166bfcb | 24日前

この本は読んでよかった。2007年のサブプライム危機を扱った本の中でも、住宅ローンを組成していたノンバンクに焦点を当てた本。他の類似の書籍には載っていない興味深い内部事情が描かれている。

・ローンを組成する企業は、ローンを持ち込む営業部と、持ち込まれたローンの品質をチェックする審査部の二つに分かれている。多くの会社では、この二つは全く別々の指揮系統に属していて、紙の上では互いにチェックしあう関係にある。しかし、審査そのものは金を生み出さない業務なので、時として社内政治で営業が審査部に勝ってしまうことがある。そうなった場合の結末は悲惨で、その会社は短期的に凄まじい利益をあげた末に、次の景気サイクルの後退期でものの見事に吹き飛ぶことになる。この審査の劣化によるローンの質の低下こそが、2006年のニューセンチュリー破綻の本質的な原因だった -- これとまったく同じ問題が、10年後の日本の地方銀行のスルガ銀行で完璧に複製されることになる。

・メリルリンチのCDOの質が並外れて低かったのは、メリルがサブプライムローン証券化の分野で出遅れ気味で、CEOオニールの指揮のもとで業容拡大を急いでいたからだ。証券側でローンを検査していた人々に対するプレッシャーは強く、「もっと早くやれ。やらなければ首だ」と圧力を常に受けていた。メリルは特にひどく、劣等なローンでも何とか承認に持っていく方法を見つけ出していた (p278)

・ソロモンで不動産担保証券を創設したルー・ラニエーリは遅くとも2006年の段階で、サブプライムCDOの危険性を把握していた。彼は、持ち込まれてくるローンはARMでFICOスコアが低く、最初の住宅購入で、いくつかの審査がスキップされている等などの点を見て「重層的なリスク」があると考えていた。2006年12月のOTS住宅産業サミットで、この懸念を公に表明している。

・バフェットはカントリーワイドの社長のアンジェラ・モジロと知り合いだった。モジロと会う時は、エンバシースイートホテルを必ず指定していた。バフェットはそのホテルの朝食タダ権を持っていたからだ。モジロはバフェットのリンカーンコンチネンタルに乗せてもらったこともある。「車の中は散らかしてあって汚かった」(p170)

ロバート・J・シラー「バブルの正しい防ぎかた」(日本評論社, 2014) 166bfcb | 32日前

ニック・リーソン「マネートレーダー銀行崩壊」(新潮社, 2000) 166bfcb | 36日前

1994年に破綻したベアリングス銀行の話。そもそもベアリングス銀行のトレーディングルームは管理が杜撰で、しょっちゅう顧客の注文の取り違えや処理ミスを起こしていたらしい。このミスを隠蔽するために、架空のアカウントに誤発注を押し込むことが常態化していた。

問題になるのは、架空アカウントの損を穴埋めするために現金を調達する必要があることで、そこで登場したのが...自己勘定でのオプションの販売だった。将来のリスクを引き受ける事で小銭を稼いでいたわけだけど、結局この取引は雪だるま式に膨れ上がっていった。目先の現金を獲得するために取ったポジションそのものが、損失を出し始めていたからだ。この負のサイクルの中で、リーソンは身動きがとれないままズブズブと沈んでいくことになる。損を補填するために更に多くのオプションを売る必要があったが、それが市場の吸収できる量を越えつつあり、しかもポジションが大きすぎて本国の資金移動制約にも引っかかるようになったからだ。

追記:この事件について調べていると、ニック・リーソンのtwitterアカウントが出てきて、日経相場とビットコインについて語っていた。プロフィールによると「ビジネススピーカー」として活躍しているらしい。シュールなことよ。

ポール・スタイルズ「さよならメリルリンチ」(日経BP社, 1999) 166bfcb | 37日前

政府機関を29歳で退職した著者が、新興国市場の債権営業としてウォール街に飛び込んだ体験を描いた本。著者には金融の知識も経験もまったく無かったが、何とか学生時代のコネを利用してメリルリンチに潜り込むことに成功する。ただ、ちょうど飛び込んだ時期に、新興国市場が崩壊を始めていて...。

フィリップ・リーヴ「ラークライト - 伝説の宇宙海賊」(理論社, 2007) 2556654 | 44日前

「アーサー王、ここに眠る」と同じ作者。「アーサー王」から対象年齢はぐっと下がるのだけど、物語としての完成度は本当に高く、大人が読んでも普通に面白い。どんなに破壊的な事が起きても、人が死んだりしないように配慮されているあたり、ちょっとピクサーの映画作品を思い起こさせるかもしれない(とはいっても、人間以外の、サボテン人間だのクモ星人だのはバンバン死ぬんだけど)

登場するキャラクターはどれも魅力的なのだけど、俺の印象に最も残ったのはトカゲ娘のシリッサだった。海賊船 <ソフロニア号> を操る錬金術師。あまりにこのキャラクターに感情移入しすぎて、最後の全員が集まる大団円のハッピーエンドシーンを読みながら「シリッサには何にもないのか?それじゃあ寂し過ぎるだろう!」と思っていた。

デイヴィッド・エディングス「予言の守護者」(早川書房, 2005) 2556654 | 44日前

2018年12月

フィリップ・リーヴ「アーサー王、ここに眠る」(創元ブックランド, 2009) 2556654 | 51日前

すごく面白い話だった。この物語の中では、アーサーは、盗賊まがいの小集団の首領で、短気で粗暴な男にすぎないのだけど、それを、吟遊詩人のミルディン(マーリン)が、物語を創作することで偉大な「アーサー王」を文字通り創造していく。大きなテーマは、物語に宿る、ときに現実をも変えてしまう根源的な魔力と、それでも、物語によってすべてを好きなように操作できるわけではない、という限界だ。

読んだ後に色々と考えていると、物理学者のファインマンのことを思い出した。子供の時は彼の物語が好きだったのだけど、今思い返すと一抹の逡巡を覚える。本当に、彼はああいう人物だったのだろうか? 実際のところ、俺は知らない。というのは、俺がファインマンについて知っている(と思っている)ことは、彼が自分自身について語ったことに由来しているからだ。

ナンシークレス「ベガーズ・イン・スペイン」(早川書房, 2009) 2556654 | 51日前

2018年11月

ソルジェニーツィン「イワン・デニーソヴィチの一日」(新潮社, 2005) 2556654 | 81日前

強制収容所の一日を描いた作品。たとえ強制収容所の苛烈な環境の中であっても、それが私たちの職能を示す限りにおいて、仕事は人間の魂を救済する。

ヴィクトル・ペレーヴィン「宇宙飛行士オモン・ラー」(群像社, 2010) 2556654 | 81日前

サリー・ガードナー「マザーランドの月」(小学館, 2015) 2556654 | 81日前

1954年の欧州が舞台で、ナチスとソ連を合わせたようなガチガチの監視社会が支配している。主人公たちがいずれ反社会分子として粛清されることは見えていて、主人公たちも十分過ぎるぐらいにそれを自覚しているのだけど、それでも人間らしく生きる(あるいは死ぬ)ことはできる、という物語。傑作だと思う。

アン・レッキー「叛逆航路」(東京創元社, 2015) 2556654 | 81日前

シヴォーン・ダウド「ボグ・チャイルド」(ゴブリン書房, 2011) 2556654 | 81日前

アイルランドを舞台とした青春小説。主人公の兄が(アイルランド独立という理想のために)刑務所でハンストを行う。母はとにかく子供に死んでほしくないと思うが、父は本人の意志を尊重しようとする。どちらが正しい選択なのか?「何もしないで後悔するより、何かをして後悔した方がよい」 (p430-431)

2018年10月

パオロ・バチガルピ「第六ポンプ」(早川書房, 2012) 2556654 | 112日前

ガイ・グリオッタ, ジェフ・リーン「キングズ・オブ・コカイン : コロンビア・メデジン・カルテルの全貌」(草思社, 1992) 2556654 | 112日前

この本の面白い逸話として、南米から麻薬を密輸する中継地点として栄えて、「高品質のコカインが無制限に手に入る」ようになった(ヤク中にとっての天国のような)島が出てくる。それで、どうなったかと言うと、ヤクをやりすぎた売人たちは誇大妄想と猜疑心に蝕まれて、誰もがボディーガードをつけて歩くようになったそうな。

2018年09月

ドン・ウィンズロウ「ザ・カルテル」(KADOKAWA, 2016) 2556654 | 142日前

ピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」(文藝春秋, 2015) 2556654 | 142日前

リチャード・ブックステーバー「市場リスク 暴落は必然か」(日経BP社, 2008) 2556654 | 142日前

荒木映子「ナイチンゲールの末裔たち : 「看護」から読みなおす第一次世界大戦」(岩波書店, 2014) 2556654 | 142日前

この本で紹介された次の一冊は読んでみたい。著者は看護婦として第一次世界大戦に赴いた人。戦場で心身が無残に崩れ去ってしまった人々を、戦争の引き潮が残した「人間の残骸」と表現している。Ellen LaMotte 'The Backwash of War - The Human Wreckage of the Battlefield as Witnessed' (1916)