Bookpostオンライン読書ログ

2019年01月

ニック・リーソン「マネートレーダー銀行崩壊」(新潮社, 2000) 166bfcb | 3日前

1994年に破綻したベアリングス銀行の話。そもそもベアリングス銀行のトレーディングルームは管理が杜撰で、しょっちゅう顧客の注文の取り違えや処理ミスを起こしていたらしい。このミスを隠蔽するために、架空のアカウントに誤発注を押し込むことが常態化していた。

問題になるのは、架空アカウントの損を穴埋めするために現金を調達する必要があることで、そこで登場したのが...自己勘定でのオプションの販売だった。将来のリスクを引き受ける事で小銭を稼いでいたわけだけど、結局この取引は雪だるま式に膨れ上がっていった。目先の現金を獲得するために取ったポジションそのものが、損失を出し始めていたからだ。この負のサイクルの中で、リーソンは身動きがとれないままズブズブと沈んでいくことになる。損を補填するために更に多くのオプションを売る必要があったが、それが市場の吸収できる量を越えつつあり、しかもポジションが大きすぎて本国の資金移動制約にも引っかかるようになったからだ。

追記:この事件について調べていると、ニック・リーソンのtwitterアカウントが出てきて、日経相場とビットコインについて語っていた。プロフィールによると「ビジネススピーカー」として活躍しているらしい。シュールなことよ。

ポール・スタイルズ「さよならメリルリンチ」(日経BP社, 1999) 166bfcb | 4日前

政府機関を29歳で退職した著者が、新興国市場の債権営業としてウォール街に飛び込んだ体験を描いた本。著者には金融の知識も経験もまったく無かったが、何とか学生時代のコネを利用してメリルリンチに潜り込むことに成功する。ただ、ちょうど飛び込んだ時期に、新興国市場が崩壊を始めていて...。

フィリップ・リーヴ「ラークライト - 伝説の宇宙海賊」(理論社, 2007) 2556654 | 10日前

「アーサー王、ここに眠る」と同じ作者。「アーサー王」から対象年齢はぐっと下がるのだけど、物語としての完成度は本当に高く、大人が読んでも普通に面白い。どんなに破壊的な事が起きても、人が死んだりしないように配慮されているあたり、ちょっとピクサーの映画作品を思い起こさせるかもしれない(とはいっても、人間以外の、サボテン人間だのクモ星人だのはバンバン死ぬんだけど)

登場するキャラクターはどれも魅力的なのだけど、俺の印象に最も残ったのはトカゲ娘のシリッサだった。海賊船 <ソフロニア号> を操る錬金術師。あまりにこのキャラクターに感情移入しすぎて、最後の全員が集まる大団円のハッピーエンドシーンを読みながら「シリッサには何にもないのか?それじゃあ寂し過ぎるだろう!」と思っていた。

デイヴィッド・エディングス「予言の守護者」(早川書房, 2005) 2556654 | 11日前

2018年12月

フィリップ・リーヴ「アーサー王、ここに眠る」(創元ブックランド, 2009) 2556654 | 17日前

すごく面白い話だった。この物語の中では、アーサーは、盗賊まがいの小集団の首領で、短気で粗暴な男にすぎないのだけど、それを、吟遊詩人のミルディン(マーリン)が、物語を創作することで偉大な「アーサー王」を文字通り創造していく。大きなテーマは、物語に宿る、ときに現実をも変えてしまう根源的な魔力と、それでも、物語によってすべてを好きなように操作できるわけではない、という限界だ。

読んだ後に色々と考えていると、物理学者のファインマンのことを思い出した。子供の時は彼の物語が好きだったのだけど、今思い返すと一抹の逡巡を覚える。本当に、彼はああいう人物だったのだろうか? 実際のところ、俺は知らない。というのは、俺がファインマンについて知っている(と思っている)ことは、彼が自分自身について語ったことに由来しているからだ。

ナンシークレス「ベガーズ・イン・スペイン」(早川書房, 2009) 2556654 | 17日前

2018年11月

ソルジェニーツィン「イワン・デニーソヴィチの一日」(新潮社, 2005) 2556654 | 47日前

強制収容所の一日を描いた作品。たとえ強制収容所の苛烈な環境の中であっても、それが私たちの職能を示す限りにおいて、仕事は人間の魂を救済する。

ヴィクトル・ペレーヴィン「宇宙飛行士オモン・ラー」(群像社, 2010) 2556654 | 47日前

サリー・ガードナー「マザーランドの月」(小学館, 2015) 2556654 | 47日前

1954年の欧州が舞台で、ナチスとソ連を合わせたようなガチガチの監視社会が支配している。主人公たちがいずれ反社会分子として粛清されることは見えていて、主人公たちも十分過ぎるぐらいにそれを自覚しているのだけど、それでも人間らしく生きる(あるいは死ぬ)ことはできる、という物語。傑作だと思う。

アン・レッキー「叛逆航路」(東京創元社, 2015) 2556654 | 47日前

シヴォーン・ダウド「ボグ・チャイルド」(ゴブリン書房, 2011) 2556654 | 47日前

アイルランドを舞台とした青春小説。主人公の兄が(アイルランド独立という理想のために)刑務所でハンストを行う。母はとにかく子供に死んでほしくないと思うが、父は本人の意志を尊重しようとする。どちらが正しい選択なのか?「何もしないで後悔するより、何かをして後悔した方がよい」 (p430-431)

2018年10月

パオロ・バチガルピ「第六ポンプ」(早川書房, 2012) 2556654 | 78日前

ガイ・グリオッタ, ジェフ・リーン「キングズ・オブ・コカイン : コロンビア・メデジン・カルテルの全貌」(草思社, 1992) 2556654 | 78日前

この本の面白い逸話として、南米から麻薬を密輸する中継地点として栄えて、「高品質のコカインが無制限に手に入る」ようになった(ヤク中にとっての天国のような)島が出てくる。それで、どうなったかと言うと、ヤクをやりすぎた売人たちは誇大妄想と猜疑心に蝕まれて、誰もがボディーガードをつけて歩くようになったそうな。

2018年09月

ドン・ウィンズロウ「ザ・カルテル」(KADOKAWA, 2016) 2556654 | 108日前

ピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」(文藝春秋, 2015) 2556654 | 108日前

リチャード・ブックステーバー「市場リスク 暴落は必然か」(日経BP社, 2008) 2556654 | 108日前

荒木映子「ナイチンゲールの末裔たち : 「看護」から読みなおす第一次世界大戦」(岩波書店, 2014) 2556654 | 108日前

この本で紹介された次の一冊は読んでみたい。著者は看護婦として第一次世界大戦に赴いた人。戦場で心身が無残に崩れ去ってしまった人々を、戦争の引き潮が残した「人間の残骸」と表現している。Ellen LaMotte 'The Backwash of War - The Human Wreckage of the Battlefield as Witnessed' (1916)